権限と権利
被相続人には権限があり、相続人には権利がある。
この当たり前過ぎる“構造”に改めて気付かされる案件が立て続けにあったので共有したい。
先日のご相談
夫婦仲が悪いという奥さまからのご相談。“何とか私がより多く受け取る方法は無いか”と訊ねられた。
どういうことか伺うと、ご主人には前妻との間にお子さんが二人いらして、ご主人とご自身がどんどん心が離れていく間にお子さん達と接近している様子らしい。
ご主人の資産は全て自分のものになると思っていたのに、逆に少なくされそうだから、という背景のようだ。
何とも呆れる話だったが、“ご主人の胸先三寸だから、そういう目論見があるのならばご主人とは仲良くすること・法定相続分はあるものの、誰にどう渡すかはご主人次第”と伝えた。
もう1件も離婚歴のある方の話。
こちらの夫婦仲は良好で、ご主人と前妻のお子さん達とは疎遠な関係。ご主人の考えは、全ての財産は後妻に渡したいというもの。まさに争族対策。
財産の大半を後妻さんに渡すための方策をご説明差し上げるとともに、お子さん達には遺留分を請求する権利があるから、ご主人とお子さん達・特にお子さん達と後妻さんの関係を良くしておくことが揉めない最善策であることをお伝えした。
何故なら遺産分割対策・通称“争族対策”は、感情の問題だからカドカドしい関係ではなく丸く穏やかに地ならしをしておく必要がある。
お子さん達が嫌がらせで異議を申し立てようものなら、後妻さんが亡くなるまでゴネ続けることが出来てしまう。よほど秀逸な遺言書を作成するとともに、有能な遺言執行人を依頼しておかないと被相続人の考えは頓挫してしまう。
権限と権利がぶつかり合う相続の現場、
やはり“ウチに限って”の台詞が出ないように生前に・認知症になる前に準備を進めましょう。
“今でしょ”